サングラスをかけて下を向くたびに、少しずつ鼻からずり落ちてくる。日本人の男性に多い悩みですが、原因を「自分の鼻が低いから」で片づけてしまうと、次に買う一本の選び方は変わりません。
サングラスがずれるかどうかは、鼻の高さより鼻当てが動かせる作りかどうかで決まります。鼻の低さに合わせて後から詰められるのは、左右に分かれたパッドを金属の腕で支えているフレームだけです。ブリッジ(左右のレンズをつなぐ部分)がそのまま鼻に乗る一体型は、買ったあとに鼻当ての高さを変えられません。眼鏡の産地である福井県鯖江でレンズを仕上げ、サングラスを企画・設計するLeotti(レオッティ)のつくり手として、自社4モデルNino・Beppe・Gigi・Pepeの鼻まわりの実測を添えて説明します。実測値は2026年8月時点のものです。
サングラスがずれるかどうかは鼻当ての作りで決まる
サングラスがずれるかどうかは、鼻の高さより鼻当ての作りで決まります。鼻当てには、左右に分かれた調整できるパッドと、ブリッジがそのまま鼻に乗る一体型の2種類があり、鼻の低さに後から合わせられるのは前者だけです。この違いは、正面の商品写真を拡大すれば買う前に判別できます。
| 鼻当ての作り | 鼻が低い人への当たり方 | 買ったあとの高さ調整 |
|---|---|---|
| 左右に分かれたパッド | 腕を内側と下へ詰めれば、低い鼻根でも面で接地する | できる |
| 一体のブリッジ | 幅と角度が合えば中心で安定し、合わなければ乗らない | できない |
どちらが優れているという話ではありません。一体のブリッジは鼻の中心で支えるため跡が残りにくく、パッドの劣化や交換もありません。ただし、合うかどうかは買った時点でほぼ決まります。鼻の低さで失敗を重ねてきた人ほど、この分岐を先に確認しておく価値があります。

鼻が低いとサングラスがずれる理由
鼻が低い人でサングラスがずれるのは、鼻の付け根(鼻根)が低いぶん、鼻当てが本来当たるはずの位置より上でしか触れず、支える面積が足りなくなるためです。支えきれなかった重さがフロントを前へ押し出し、少しずつ頬まで落ちていきます。
眼鏡市場は、ずれのサインとして「鼻パッドが浮く、または鼻周りに痛みを感じる」ことと、「レンズの中心から黒目が±5mm以上離れた位置にある」ことを挙げています。鼻で支えきれていない状態は、かけ心地だけでなくレンズの中心位置まで狂わせます。
鼻根が低いと支える位置が上へ逃げる
吉祥寺の眼鏡専門店オプテリアグラシアスは、日本人の顔立ちについて「欧米人に比べて鼻根が低く、鼻筋が短い」傾向を挙げ、こうした骨格では一般的なパッド式のメガネが「ずれやすくなったり、パッドが強く食い込んでしまったりする」と説明しています。同店には「鼻に合わなくて断念した経験がある」と話す来店客が約7割いるそうです。
鼻筋が短いということは、鼻当てが接地できる縦の余地が短いということでもあります。海外で設計されたフレームは、鼻根が高い前提でパッドの位置が上のほうに置かれていることがあり、日本人がかけると接地点が鼻の付け根の狭い部分に集中します。
一体のブリッジは高さを後から変えられない
JINSは、眼鏡店で調整できる箇所を「幅・耳のかかり・鼻の当たり」と整理したうえで、「鼻パッドが一体型の場合は調整不可」と明記しています。ここが、鼻の低い人にとって一番効いてくる制約です。
つまり、買ってから店で直せるのは、パッドが左右に分かれていて金属の腕(クリングスと呼ばれる、パッドを支える細い腕)が付いている場合に限られます。一体型を選ぶなら、鼻当ての形が自分の鼻に合っているかを買う前に見極めるしかありません。
厚みのあるフレームほど前へ滑りやすい
フロントが重いほど、鼻当てにかかる荷重は増えます。Leottiのアセテートフレームは8mm厚で、一般的なサングラスより明確に分厚い作りです。厚みは面と艶の見え方に直結する一方、鼻で支える重さも増えます。
Leottiは各モデルの重量を公表していないため、何グラム重いという言い方はできません。ただ、厚みのあるフロントを一体のブリッジだけで支える構造は、鼻根が低い人にとって条件が厳しくなる。ここはつくり手として正直に書いておきます。
鼻当てが動くかを商品写真から見分ける3つの手順
通販で買う前に、鼻当てが調整できるかどうかは正面の商品写真から判別できます。次の順に見ていけば、仕様欄に記載がないフレームでも見分けがつきます。
- レンズとレンズのあいだを拡大する。左右に小さな透明の小片が2つ、ハの字に並んでいれば、独立したパッドです。
- 小片の根元から細い金属の腕が伸びているかを確かめる。この腕が曲がることで、パッドの高さと幅が変わります。腕が見えれば調整できます。
- 腕が見えず、フレームと同じ色・同じ素材の面がそのまま鼻へ下りていれば一体型です。買ったあとに鼻当ての高さは変えられません。
斜め45度と横からの写真があれば、鼻当ての角度まで確認できます。写真が正面1枚しかない場合は、仕様欄に「ノーズパッド」の記載があるかを探してください。記載がないアセテートフレームは一体型であることが多い作りです。

ブリッジ幅の数字は鼻の高さではなく鼻の幅に対応する
ブリッジ幅は「52□21-145」の真ん中の数字で、単位はmmです。左右のレンズの間隔を表し、標準はおおむね16〜21mmに収まります。ここで混同しやすいのですが、ブリッジ幅が対応しているのは鼻の高さではなく鼻の幅です。
高さの問題はパッドで解き、幅の問題はブリッジ幅で解く。この2つを分けて考えると、選ぶときに迷いが減ります。鼻が低くても鼻幅が広い人には21mmが素直に乗りますし、鼻幅が狭い人が21mmを選ぶと、中心が定まらずに左右へ泳ぎます。「鼻が低いから狭いブリッジ」と単純に決めるのは危険で、かえって鼻の付け根に食い込むことがあります。
| ブリッジ幅の目安 | 向いている鼻の幅 | 起きやすいこと |
|---|---|---|
| 16〜17mm | 鼻幅が狭め | 広い人がかけると付け根に食い込む |
| 18〜19mm | 標準的 | 手持ちの一本と照合しやすい |
| 20〜21mm | 鼻幅が広め | 狭い人がかけると中心が定まらず泳ぐ |
自分の数字がわからないときは、いま持っている眼鏡のなかで一番ずれにくい一本を裏返し、テンプル(つる)の内側に刻まれた真ん中の数字を控えてください。そこから上下1〜2mmが、外しにくい範囲になります。サイズ表記の読み方はサングラスのサイズの選び方で詳しくまとめています。
Leottiの4本は鼻当ての作りが2つに分かれる
Leottiの4モデルは、鼻当ての作りではっきり2つに分かれます。GigiとPepeは調整できるパッドを持ち、NinoとBeppeはアセテートの一体ブリッジがそのまま鼻に乗ります。下の実測は2026年8月時点で商品ページと実物写真から確認したものです。
| モデル | 形状 | ブリッジ幅 | 鼻当ての作り | 買ったあとの高さ調整 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|---|---|
| Pepe | 細メタルのダブルブリッジ | 16mm | 左右に分かれたパッド | できる | 12,100円 |
| Gigi | ブロウライン(サーモント) | 17mm | 鯖江仕上げのメタルパッド | できる | 33,000円 |
| Nino | 太めウェリントン | 21mm | 一体のアセテートブリッジ | できない | 28,600円 |
| Beppe | 丸みのあるウェリントン | 21mm | 一体のアセテートブリッジ | できない | 28,600円 |
鼻当てを調整できるGigiとPepe
鼻の低さでずれてきた人が最初に見るべきは、GigiとPepeです。どちらも左右に分かれたパッドを金属の腕で支えているため、購入後に眼鏡店で高さと幅を詰められます。
Gigiは上部がアセテート、下部がシルバーメタルのブロウラインで、パッドは鯖江で仕上げています。ブリッジ幅17mm、レンズ幅53mmと控えめで、スーツにも収まる見え方です。Pepeはブリッジ幅16mmと4本で最も狭く、細いメタルでフロントの重さを抑えています。鼻幅が狭めで、かつ厚みのあるフレームで失敗してきた人には、この2つの条件が同時に効きます。
ブリッジがそのまま鼻に乗るNinoとBeppe
NinoとBeppeは、8mm厚のアセテートを成形したブリッジがそのまま鼻に乗る作りです。パッドの跡が残らず、部品の劣化や交換もありません。鼻の中心で支えるため、幅と角度が合えば安定します。
ただし、ブリッジ幅は2本とも21mmで4本のなかでは広めです。鼻幅が狭い人や、鼻根が低くて接地面が取りにくい人には条件が合いにくくなります。この2本を検討するなら、手持ちの眼鏡でブリッジ21mm前後がずれずに乗っていたかを先に確かめてください。合わなかった経験があるなら、GigiかPepeへ寄せたほうが確実です。

鼻が低いメンズが避けたい組み合わせ
鼻が低い人がずれで苦労しやすいのは、条件が重なったときです。ひとつずつなら耐えられても、2つ重なると鼻で支えきれなくなります。
| 組み合わせ | 起きやすいこと | 逃げ方 |
|---|---|---|
| 一体のブリッジ × 厚みのある大きめフレーム | 支える面が足りず前へ滑る | 調整できるパッドの型に替える |
| 海外規格のサイズ展開 | ブリッジもパッドの位置も別の骨格向けに置かれている | アジアンフィット表記か国内設計を選ぶ |
| 鼻幅より広いブリッジ | 中心が定まらず左右に泳ぐ | 手持ちで合う一本のブリッジ幅と照合する |
海外ブランドについては、JINSが「US規格やヨーロッパ規格の場合、そもそも日本人の顔型に合わないケースもある」と幅やノーズパッドの高さ・広さを理由に挙げる一方、「アジアンフィットという規格で日本人向けに作成を行っているケースが増えており、一概に海外ブランドだから合わないということはない」とも書いています。ブランドの国籍ではなく、そのモデルの設計を見るのが正しい見方です。
なお、鼻根が低い人に向く構造として一山(いちやま/パッドを使わずブリッジが鼻に直接乗る形式)が挙げられることがあります。オプテリアグラシアスは、中央の一点で支えるぶんパッド式より安定しやすいと説明しています。ただしLeottiは現時点で一山のモデルを作っていません。その形を第一条件にするなら、他ブランドを探したほうが早いはずです。
買ったあとのずれ対策には順番がある
すでに持っているサングラスがずれるときは、鼻パッドシールから手を付ける人が多いのですが、順番を変えたほうが直る確率は上がります。次の順に試してください。
- 汗と皮脂を落とす。眼鏡市場は、汗や皮脂が付着すると「フレームや鼻パッドなど皮膚に接触する部分の摩擦力が落ち」てずれると説明しています。水洗いか、十分に希釈した中性洗剤で。石鹸はコーティングが剥がれます。
- 両手でかけ外しする習慣に変える。片手でテンプルを持つと幅が広がり、かけたときの位置が下がります。1回では変わりませんが、100回続けば効いてきます。
- 眼鏡店でテンプルの角度と耳のかかりを調整してもらう。鼻より先に耳側で位置が決まっていることは珍しくありません。
- 鼻当てを詰めてもらう。調整できるパッドならここで直ります。一体型はこの段階に進めません。
- 市販の鼻パッドシールや耳のストッパーを足す。JINSも書いているとおり、これは応急処置です。1〜4を飛ばしていきなり貼っても、根本は変わりません。
パッドの表面がつるつるしてきたら、摩耗して滑り止めが効かなくなっているサインです。交換できる作りなら、部品を替えるだけで戻ることもあります。
鼻まわりをつくり手としてどう考えているか
Leottiは、フレームを企画・設計し、レンズをクリア・カラー・調光・偏光まですべて鯖江で仕上げています。フロントには8mm厚のアセテートを使い、レンズを留める部分には昔ながらの3点ピン留めを採用しています。ピンは装飾ではなく、実際に接合を固定している構造です。
鼻まわりについては、4本で作りを分けています。GigiとPepeは調整できるパッドを持たせて、かけ手側で詰められる余地を残しました。NinoとBeppeは一体のブリッジで、跡が残りにくく部品が劣化しない代わりに、購入時点で合うかどうかが決まります。どちらが上ということではなく、鼻の条件によって向き不向きが分かれるという話です。
鼻の低さでずれてきた人は、まずPepeとGigiから見てください。メタルを使った2本はメタルフレームのコレクションにまとめています。形や顔型から絞りたい場合は、メンズサングラスの選び方とサングラスが似合う顔の見分け方もあわせて。
鼻の高さではなく、鼻当てが動くかで選ぶ
鼻が低いからサングラスが似合わない、ずれるのは仕方がない。そう思ってきた人は、選ぶときに見る場所を変えるだけで結果が変わります。見るのは鼻の高さではなく、鼻当てが動く作りかどうかです。
正面写真を拡大して、透明の小片と金属の腕があるかを確かめる。真ん中の数字であるブリッジ幅を、いま一番ずれない眼鏡と照合する。この2つを買う前に済ませておけば、届いてから頬に落ちてくる一本を引く確率は下がります。手元の眼鏡を裏返して、真ん中の数字を控えるところから始めてみてください。