調光サングラスの普段使いは、屋内と屋外を何度も行き来する日にいちばん効きます。かけ替える手間がなくなり、持ち歩く本数が1本減る。ここまでは期待どおりです。
つまずくのは車の中です。多くの車のフロントガラスは紫外線を抑える加工がされているので、運転席では調光レンズの色がほとんど変わりません。通勤で車を使う人が「普段使いに1本」と考えて調光を選ぶと、いちばん使いたい時間に色が入らないことになります。
Leotti(レオッティ)の調光レンズは、室内で光を95%通し、屋外で22%まで濃くなります。レンズはすべて鯖江産で、透過率は自社のレンズガイドに公開しています。以下はこの数字を1日の流れに当てはめて、どこで効いてどこで効かないかを整理したものです。
調光サングラスの普段使いは屋内と屋外の行き来が多い日に効く
調光レンズが普段使いで働くのは、紫外線が直接あたる場所と、あたらない場所を短い間隔で行き来する日です。徒歩や自転車の通勤、外回り、買い物、散歩、旅行。かけ外しの回数がそのまま手間になる場面で、1本で通せます。
逆に、一日じゅう屋外にいる日と、一日じゅう屋内にいる日には向きません。前者なら濃さが固定された偏光レンズかカラーレンズのほうが確実で、後者ならそもそも色が入らないので普通のメガネと変わりません。調光の価値は到達点の濃さではなく、動くことそのものにあります。
| 場所 | 紫外線 | Leottiの調光レンズ |
|---|---|---|
| 屋外の日なた | 強い | 22%まで濃くなる |
| 屋外の日陰、曇り | 中くらい | 中間の濃さ |
| 車の運転席 | フロントガラスが抑える | ほとんど変わらない |
| 屋内、地下 | ほぼ無い | 95%(ほぼ透明) |
数値の出どころはレンズガイドです。
メンズの1日を追うと、調光レンズが色を入れる時間は思ったより短い
調光レンズが実際に濃くなっている時間を、平日の1日で数えてみます。徒歩通勤なら往復と昼の外出で1時間前後、車通勤なら昼の外出だけという計算になります。
| 時間帯 | 場所 | レンズの状態 |
|---|---|---|
| 7時30分 出勤 | 徒歩か自転車 | 数十秒で色が入る |
| 8時30分 オフィス | 屋内 | 数分かけて95%へ戻る |
| 12時 昼食 | 屋外を歩く | 色が入る |
| 13時 店内 | 屋内 | 戻りきる前に食事が終わる |
| 18時 退勤 | 屋外 | 日没後は紫外線が減り、色が入らない |
| 19時 帰宅 | 屋内 | 透明のまま |
見えてくるのは2つです。ひとつは、日が落ちたあとの調光レンズは透明なメガネと同じだということ。夕方以降のまぶしさ対策にはなりません。もうひとつは、色が濃くなるまでは数十秒なのに、抜けて戻るまでには数分かかること。この非対称が、次の節の使い勝手を決めます。
紫外線を浴びてから濃くなるまで数十秒、クリアに戻るまで数分というのは調光レンズ全般の性質です(JINS WEEKLY「調光レンズの7つのデメリット」)。
車の中で色が変わらないのは、フロントガラスが紫外線を抑えているから
運転席で調光レンズが濃くならないのは、フロントガラスが紫外線をほとんど通さないからです。調光レンズは紫外線に反応して色を変えるので、届かなければ何も起きません。
東海光学が実際に検証しています。2022年9月上旬の午前9時ごろ、晴天、車内の気温は約22度という条件で、車内では「レンズの色が変わっていません」と報告しています。同じ検証で日傘を使った場合も確かめていて、紫外線カット99.9%・1級遮光の日傘の下では「ほとんどレンズの色の変化がありません」。紫外線を遮るものの下では、屋外にいても色が入らないわけです。
出典 東海光学 車の中や日傘越しで『調光レンズ』を使ったらレンズの色は変わる?
車で使うことが主目的なら、選ぶべきレンズは別になります。可視光線でも反応する調光レンズを扱っているメーカーもありますが、Leottiが扱っているのは紫外線に反応する一般的な調光レンズだけです。運転中のまぶしさを抑えたいなら、濃さが固定された偏光レンズかカラーレンズを選んでください。偏光サングラスと調光サングラスの違いにそれぞれの数値を並べています。
屋内に入った直後の数分は色が残ったままになる
調光レンズの普段使いで実際に困るのは、屋外から屋内へ入った直後です。色が抜けるまで数分かかるので、その間は視界が暗いまま動くことになります。
明るい店内なら気になりません。問題は暗い場所です。地下駐車場、階段、立体駐車場のスロープ、屋内の倉庫。明るいところから急に暗いところへ入る動きが、調光レンズのいちばん苦手な場面になります。JINS WEEKLYも、トンネルなど急に暗くなる場所での使用は視認性が確保できず危険だと注意しています。
対策は単純で、その動きが読めているときは先に外すことです。地下へ降りる前、トンネルに入る前。数分待てば戻りますが、待っているあいだに足元を踏み外しては意味がありません。
もうひとつ、気温が高い日ほど色が薄くなる性質もあります。同じ紫外線量でも、暑い日は淡く、寒い日は濃くつく。真夏の炎天下で「思ったほど濃くならない」と感じるのはこれが理由です。
仕事の場で調光サングラスは浮くのか
屋内での透過率95%は、色のないUVカットクリア93%とほぼ同じです。色が抜けきった状態なら、見た目は普通のメガネと変わりません。オフィスでかけたままでも浮きません。
浮くのは、色が残っている数分のあいだです。外から戻ってすぐ打ち合わせに入る、来客の前に立つ、といった場面では、うっすら色が入ったままになる可能性があります。濃さを自分で決められないのが調光レンズの構造なので、ここは避けようがありません。
Leottiの調光は、はっきり色が入るのが屋外の22%、抜けきると95%。この2つの状態のあいだを行き来します。仕事の場で確実に透明でいたいなら、色のないUVカットクリアのほうが読みやすい選択です。クリアなら度付きにもできます(追加11,000円・納期約10日)。
なお、調光レンズは現在のところ度付きの取り扱いがありません。度数を入れられるのはUVカットクリアと通常のカラーレンズです。調光は度付きレンズ自体の価格が大きく上がるため、扱いを検討している段階です。メガネを使っている人が1本にまとめたい場合、いまは調光を選べません。
普段使いの濃さは22%で足りるのか
街を歩く明るさなら足ります。Leottiの調光レンズが屋外で到達する22%は、偏光グレーの15%より明るく、ライトグレーの57%より濃い。ちょうど中間です。
| レンズ | 光を通す割合 |
|---|---|
| 偏光グレー | 15% |
| 調光(屋外) | 22% |
| ライトグレー | 57% |
| ライトブラウン | 85% |
| UVカットクリア | 93% |
22%で足りない場面はふたつあります。真夏の炎天下と、水辺や雪面のような反射の強い場所です。反射のギラつきは濃さでは消えないので、そこは偏光レンズの仕事になります。逆に、目元を隠したいという理由で調光を選ぶと期待を下回ります。調光のいちばん濃い状態でも、偏光ほどは暗くなりません。
色の選び方や価格の違いは調光サングラスのメンズにおすすめの色と選び方にまとめています。
普段使いに向くLeottiの一本
普段使いは、かけている時間が長い分だけ重さと形が効いてきます。Leottiで調光レンズを選べるのは4型です。
| モデル | サイズ表記 | 調光レンズ | 価格(税込) | 普段使いでの性格 |
|---|---|---|---|---|
| Pepe シルバー、ガンメタル | 56□16-140 | 調光グレー | 17,600円 | 細メタルで軽い。鼻当ての高さを調整できる |
| Nino ブラック | 52□21-145 | 調光グレー | 34,100円 | 8mm厚アセテートの太めウェリントン |
| Nino デミ | 52□21-145 | 調光ブラウン | 34,100円 | 暖色を入れたいならこちら |
| Beppe ブラック、デミ | 52□21-145 | ブラックは調光グレー、デミは調光ブラウン | 34,100円 | 丸みがあり横顔まで存在感が出る |
| Gigi ブラック | 53□17-145 | 調光グレー | 38,500円 | 天地38mmで端正に見える |
一日じゅうかけたり外したりを繰り返すなら、鼻当ての高さを調整できるPepeかGigiが扱いやすいです。NinoとBeppeはアセテート一体成形のブリッジで、買ったあとに鼻の高さを合わせることができません。ここは事前に知っておいてください。鼻の当たり方の違いはサングラスが鼻でずれるメンズの選び方に4型分の作りを書いています。
調光サングラスを普段使いする前に確かめる5つ
- 車で使う時間が長くないか。 運転席では色が変わりません。車通勤が中心なら別のレンズにします
- 暗い場所へ入る動きが日常にあるか。 地下駐車場、トンネル、階段。色が抜けるまでの数分をどう扱うか決めておきます
- 夕方以降にもまぶしさ対策が要るか。 日が落ちれば紫外線が減るので、調光は透明に戻ります
- 求めている濃さは22%で足りるか。 目元を隠したいなら偏光レンズのほうが確実です
- 度数が必要か。 調光レンズは現在のところ度付きの取り扱いがありません。度数を入れるならクリアかカラーレンズになります
この5つに引っかからなければ、調光レンズは普段使いの1本として素直に働きます。フレームの形やサイズから決めたい場合はメンズのサングラスの選び方に全体の流れを書いています。
鯖江でつくるLeottiの調光レンズ
Leottiはレンズを全種類、鯖江でつくっています。調光も同じです。フレームに予算をかけてレンズを安く済ませるやり方をとらなかったのは、かけている時間のほとんどを決めているのがレンズだからです。
普段使いの一本は、結局いちばん長く顔に乗ります。8mm厚のアセテートは、厚みが増すほど存在感が出る一方で重さとのつり合いが難しくなる素材です。8mmは、その両方が成り立つところを選んでいます。接合部の3つの金属ピンは装飾ではなく、実際に部品を留めている構造です。